研究課題
本年度は、鎌倉市由比ヶ浜中世集団墓地青果市場地点から出土した人骨の整理と記載を行った。まず、出土人骨の個体数、性別年齢構成を明らかにした。次に、頭蓋計測を行い、他の遺跡の中世人と同様に長頭傾向があることを示した。さらに、クリブラオルビタリア、骨膜炎、歯根膿瘍、齲歯、エナメル質減形成、刀創の観察を行った。エナメル質減形成に関しては、中世集団墓地集団と他の時代集団の出現頻度を比較検討し、採集狩猟社会である縄文時代や初期農耕社会である弥生時代と比べて、中世集団の減形成出現頻度が低いことを明らかにした。本研究の成果は2011年日本解剖学会で発表を行ったが、次年度以降論文としてまとめる予定である。また、鎌倉市由比ヶ浜南遺跡の中世人骨を用いた結核菌DNAの検出について、DNA抽出法やPCRによる検出を再検討した。その結果、DNA抽出方法はスピンカラムを用いた方法が最も良いと判断した。また、PCRプライマーの配列も検討を重ね、股関節炎を呈する中世人骨肋骨片を試料として、これまでの手法と比較して感度の高い良好な結果を得る方法が確立出来た。また別試料として、脊椎カリエスを呈する17世紀北海道伊達市有珠4遺跡アイヌ人骨の資料採取を行った。本症例からは結核菌DNAの検出を目的に椎骨片および仙骨・寛骨の一部を採取した。次年度以降、新手法を用いて検出を試みる。
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考古学ジャーナル
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