研究課題/領域番号 |
22570222
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
星野 敬吾 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (30308506)
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研究分担者 |
澤田 純明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10374943)
長岡 朋人 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (20360216)
右高 潤子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (40398962)
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キーワード | 人類学 / 解剖学 |
研究概要 |
本研究課題のテーマの1つとして、鎌倉から出土した中世人骨について、頭蓋計測、歯冠計測、古病理学、古人口学の視点から分析を試みた。資料は、由比ヶ浜中世集団墓地青果市場地点から出土した人骨である。人骨の分析に先立ち、クリーニングや整理を行い、出土人骨の台帳を作成した。また、計測値を分析し、他の遺跡から出土した中世人骨との比較から、長頭傾向にあることを明らかにした。本研究の成果は、鋭意論文に執筆中である。本研究の整理作業に筑波大学大学院生を雇用し効率よく行った。 また、江戸時代の庶民階層に帰属する一橋高校遺跡出土人骨と、武士階層を主体とする増上寺子院群出土人骨を対象に、エナメル質減形成の出現状況の調査を行った。一橋高校遺跡出土人骨の調査は2011年度で完了しており、増上寺子院群出土人骨については2012年度も引き続き調査を継続する予定である。この調査結果の一部を、第65回日本人類学会大会で発表した。 分子生物学的アプローチからは、これまでに確立された、古人骨からのDNA抽出およびPCRの方法により、脊椎カリエスを呈する17世紀北海道伊達市有珠4遺跡アイヌ人骨(椎骨片および仙骨・寛骨の一部)からDNAを採取し、PCRによる結核菌DNAの検出を試みた。現在、これらのうち幾つかの検体から得られたPCRサンプルの詳細な解析を行っている。24年度にはこれらの結果をまとめたい。また、鎌倉市由比ケ浜南遺跡の中世人骨についても抽出を再検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に関わる論文の執筆を終えることができなかったが、中世集団墓地遺跡青果市場地点から出土した人骨を整理することができ、新資料とすることができた。 また、結核解析については今年度予定していたアイヌ人骨からのDNA抽出を行い、PCRによる解析を始めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では資料の整理に多くの時間がかかることが分かった。人件費を増やし、研究を効率よく行いたい。 また分子生物学的な分析に関しては、古人骨DNAの保存状態を鑑み、PCRを行う際には出来るだけ多くの種類のプライマーを用いて行い、菌DNA検出の精度を向上させたい。
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