研究課題
我々は、一般に、ひと目その形態を見ただけで、それがヒトであるか否かを識別することができる。恐らく、それは、ヒトと言われる動物の形態の変異に規則性と限界があるからだろう。その規則性と限界の原因を明らかにすることを目指して、新石器時代以降の人類集団の頭蓋・四肢骨計測値について、これ以上はヒトではあり得ない、という各変数の変異の限界、ならびに複数の変数の変異の規則性すなわち共変動性の方向、程度、限界などを客観的に見極める、というのが本研究の目的であった。この目的を達成するために、文献調査により、頭蓋・四肢骨計測値の平均値データを大量に収集した。結果として、日本列島の縄文時代から現代までの文献は約350篇、海外の主に新石器時代から現代までのものは約300篇集めることができた。本研究計画の最終年度であった平成25年度には、関連分析として、頭蓋・四肢骨計測値間の「群内」相関の主成分分析も行ない、頭蓋最大長の短縮傾向が、頭蓋腔容積や身長とは無関係に、鼻高増大や、大腿骨中央矢状径増大、大腿骨頭垂直径増大、距骨長増大の傾向と並行関係にあることを明らかにした。その上で、本計画の最終目的である頭蓋・四肢骨計測値間の「群間」相関の主成分分析を、縄文時代から現代までの日本列島男性標本を用いて行なった。結果、古い時代の集団ほど、頭の高さが低く、大腿骨が太い、という傾向を発見した。この概要は現在、国立科学博物館のホームページで公開している。以上のような形態変異の傾向(規則性)や限界を確認することによって、ヒトの形態学的形質の形成のされ方・あり方についての理解が一層深まることが期待される。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Bulletin of the National Museum of Nature and Science, Series D
巻: 39 ページ: 19-46
http://www.kahaku.go.jp/research/department/anthropology/report03/index.html