研究課題/領域番号 |
22570228
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
神原 憲治 関西医科大学, 医学部, 講師 (90440990)
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研究分担者 |
福永 幹彦 関西医科大学, 医学部, 教授 (90257949)
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キーワード | 機能性身体症候群 / Functional somatic syndromes / ストレスプロファイル / 心身症 / アレキシソミア |
研究概要 |
身体疾患を呈するが、その主観的訴えと客観的評価の間に乖離が大きい一連の疾患群は、Functional somatic syndrome(FSS;機能性身体症候群)と呼ばれ、心身両面にわたるさまざまな問題から、その病態と対応方法の検討が求められている。本研究では、ストレスに対する自律神経系機能に関連する指標の反応をみる「精神生理学的ストレスプロファイル」のFSSにおける特徴を検討し、心理テストを用いた心理的評価と併せた病態仮説の構築と、それを基にしたアプローチの提唱を目的としている。 前年度に引き続き、研究計画に基づいて、FSS患者群と健常対照群を対象に、ストレスプロファイルの測定、心理テスト及び主観的感覚についての評点、半構造化面接を行った。本年度の症例数は、患者群42例、健常対照群16例であった。また、今年度は生理指標のみでは安定性に問題が生じることも考慮し、自律神経機能に関連する生化学的指標であり、かつ、生理指標に近い比較的即時的な応答が見込まれる指標として、唾液アミラーゼの測定も行った。FSS患者群25例、健常対照群20例について測定し、心理指標との関連性も検討した。 以上をこれまでのデータと合わせて解析を行い、本年度に明らかになったことは以下の通りである。(1)FSSにおける精神生理学的指標のメンタルワークストレスに対する反応には、少なくとも3つのクラスターが存在し、それぞれに特徴がみられる。(2)客観的生理指標と主観的感覚との関係では、FSS群では健常対照群に比べて乖離が大きく、乖離の内容は(1)のクラスターによって異なる。このような乖離はアレキシソミア(失体感症)との関連も示唆される。(3)FSS群では唾液アミラーゼ値が健常群に比べて高く、アレキシサイミア(失感情症)傾向とも関連している。 このうち、(2)(3)については論文作成を行い、現在投稿中である。(1)については学会発表を行った。その内容につき来年度に論文作成の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ測定、解析とも、ほぼ予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究目的、研究計画に基づいてデータ解析を続けるとともに、解析結果の論文作成を進める。現在は線形的解析を行っているが、それだけで十分な結果が得られない場合は、非線形的解析も検討する。
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