近年、生活習慣病が増加し疾病構造の中心的位置を占めるようになり、これらの疾患の発症には遺伝的要因のみならず、環境要因が大きく関与している。その中でも特に生活活動強度と摂取エネルギー量のアンバランスがその一因であり、これら疾病の予防には、幼児期における食環境や食育が強く関連している。そこで我々は、今までに開発した幼児期からの体系的な食育のプログラムを幼児や児童に実施することにより、どのような影響がその後の幼児や児童の味覚識別能、生理機能や肥満や行動に現れるかについて検討している。この調査地域は、三島市「食育推進モデル校、モデル地域」となっている日本大学短期大学部のある三島市北地区の幼稚園・小学校である。この調査は、日本大学医学部倫理委員会の承認を得ている。食育のプログラムは、実践指導で5つのプログラム(1)料理教育(2)料理選択教育(3)味覚・食の安全教育(4)農業体験食農教育(5)快便教育を対象者に合わせて行う。このプログラム並びに介入前後の食習慣・食行動調査は、研究代表者吉田隆子の指導のもと、園と学校の職員が協力して行ってきた。 その結果、口頭では応えられないが「何かわからない味がする」場合を刺激閾、その味の表現ができたところを認知閾として測定した結果、幼稚園児には刺激閾と認知閾の間には差が生じていたが、年齢が上げるにつれてこの差は徐々に減少してきた。今後は、生活習慣病との関連、家庭環境として親の食生活意識調査等との関連を含め検討することが課題である。
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