研究課題/領域番号 |
22580002
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
藤村 達人 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70292513)
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キーワード | イネ / 根系 / 乾燥 / マイクロアレイ / ルートパウチ |
研究概要 |
日本晴およびBoroに加えてインディカ種であるKasalathの乾燥に対する反応を調査した。この品種が日本晴よりも遥かに根の伸長速度が速く、かつ、乾燥に敏感に反応することが判明した。さらに時間を追って詳細な解析を進めたところ、播種後のかなり早い時期(24時間以内)に環境に反応していることを示している結果が得られた。また興味深いことに、乾燥ストレス下で生育させた幼苗は枯れ上った状態から復活できる能力を獲得していた。これらのことから、限定された水分の供給下で発芽生育を開始した幼植物は根系の発達という形態形成のシグナルと、浸透圧調節機能と予想される生化学的な反応の2種類のシグナル伝達系に対して情報を流していることを示している。 これまでのマイクロアレイの解析では、アノテートがされている遺伝子については、この現象に植物ホルモンが関与していることが強く示されている。これに対して、マイクロアレイの調査で活性の変化の見られた遺伝子中で、それ以外のアノテートの進んでいない機能未知の遺伝子に関して更に解析を進める予定である。これらの中に、シグナル伝達に関する制御因子などが含まれている可能性があると予想している。 Kasalathと日本晴で反応に大きな差異が見られたので、これのRILsを利用して詳細なQTLs解析を行うべく準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
土耕法に変えて今回濾紙を利用したルートパウチの利用を、詳細な解析に向けて試みた。これは優れた実験道具ではあるが、それの使いこなしに手間取った。予想以上に通気性が良く、また、使用する水分が極く少ないことから、水分・湿度管理を注意深く行わなくては行けない等の問題があった。
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今後の研究の推進方策 |
イネが乾燥ストレスに対して、形態の変化、および、生化学的な変化の双方応答をしていることが明らかになった。 しかもそれが播種後の極早い時期に起っている。本研究方法はそれを敏感に調査できるので、遺伝学的、分子生物学的および化学的な面から詳細な研究を進める計画である。
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