研究課題
近年、ダイズを含む様々な作物種のゲノム塩基配列情報の蓄積と解析が進んでおり、この様なゲノム研究によって得られた有用遺伝子の情報を作物の育種に直接活用するためには、ゲノム情報に基づいた新たな植物改良技術が不可欠であると考えられるが、遺伝子組換えを行った作物に対する日本国内の消費者の抵抗感は依然として強く、遺伝子組換え作物の普及には未だ大きな障壁が残っている。そこで本研究では、ゲノム情報に基づいた新たな植物改良法として近年注目を集めている逆遺伝学的なスクリーニング法の一つであるTILLING法を用いて、ダイズの貯蔵脂質の脂肪酸代謝に関与すると考えられる標的遺伝子を破壊した新規突然変異系統の単離と、得られた突然変異系統を組み合わせて、ダイズ貯蔵脂質中の脂肪酸組成を代謝工学的に改良することを目的とした。その結果、アシル-ACPチオエステラーゼやステアロイル-ACP不飽和化酵素、小胞体型ω-3不飽和化酵素をコードする遺伝子に変異を生じた新たなダイズ突然変異系統の単離に成功した他、複数の突然変異系統間での交雑により、遺伝子組換え技術を利用することなく80%以上の超高オレイン酸含量や1.5%の超低リノレン酸含量の油脂を生産するダイズ系統の作出が可能であることを明らかにし、本研究で用いた逆遺伝学的な手法が今後の作物の代謝経路の改変を目的としたゲノム育種に極めて有効であることを示した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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