研究課題/領域番号 |
22580011
|
研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
松井 勝弘 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター・作物開発・利用研究領域, 主任研究員 (30343974)
|
キーワード | プロアントシアニジン / MYB転写因子 / 二次代謝産物 / 形質転換体 / CRES-T / フラボノイド / トランジエントアッセイ / 自殖性ソバ |
研究概要 |
カテキン類からプロアントシアニジン(PA)が合成される過程で働く遺伝子は未だ明らかとなっていない。これまでに普通ソバよりPA合成を制御すると考えられるMYB転写因子遺伝子を単離した。この遺伝子をアラビドプシスおよびタバコで高発現させた形質転換体、およびこの遺伝子にリプレッションドメインを付加して、この転写因子が制御する遺伝子の発現を抑制(CRES-T)した形質転換体を作成し、発現パターンが変化する遺伝子やタンパク質を検出するなどをしてPA合成制御機構の解明を試みる。本年は昨年度作出したタバコとアラビドプシスの形質転換体を用いて、PA合成がどのように変化するかを調査すると共に、合成系のどの酵素遺伝子を制御しているのかをアラビドプシスの酵素遺伝子プロモーターを用いたトランジエントアッセイ法により調査した。タバコとアラビドプシスを用いた形質転換体作成の結果から、ソバ由来の転写因子遺伝子はこれまでにアラビドプシスやブドウ、またカキなどで報告されている転写因子とは異なる制御をすることが考えられた。現在、アラビドプシス由来の転写因子遺伝子プロモーターにソバ由来の転写因子遺伝子を連結したベクターを作成し、アラビドプシスの変異体に導入するなどの相補・補完実験を行い、詳細を調査中である。また、ソバの酵素遺伝子プロモーターを用いてトランジエントアッセイを行うため、現在、ソバより各酵素遺伝子遺伝子のプロモーター配列を解読中である。一方、PA合成に関与すると思われる遺伝子を検出するため、タバコの形質転換体間で遺伝子発現が変化しているのかをcDNA-AFLPを用いて調査しているが、現在のところ良好な結果は得られていない。これに関しては材料の調整や泳動方法の改良などを検討しているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タバコおよびアラビドプシスの形質転換体が順調に作成できており、これらを用いた解析が可能となっているため。しかし、当初計画していなかった相補試験のための新たな形質転換体の作成やソバのプロモーター領域の解読を進める必要が出てきたため、cDNA-AFLPの解析の速度が遅くなってしまっている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究を進めて行く過程で、ソバに由来するプロアントシアニジン合成を制御すると考えられる転写因子遺伝子はこれまでに報告されていた転写因子とは制御機構が異なる可能性が高いことが分かった。このことから、cDNA-AFLPを用いて新規遺伝子を得たとしても考察が不確かなものとなる危険があると考えている。そこで、今後はソバ由来の転写因子の制御機構を明らかにすることを優先的に進める予定である。しかし、既にタバコの形質転換体が得ちれているため、当初から計画しているcDNA-AFLPの解析は泳動層の改良などを行い、効率的に解析を進めて行く予定である。
|