研究概要 |
1.概要 冬作物であるコムギが試験材料であるため,現在,圃場試験を実施中である.本年度の試験の目的は,異なる窒素追肥時期によるコムギの生育と光環境の変化の調査である.平成22年11月17日に圃場に播種し,現在出穂期を迎えている.平成23年6月上旬に終了予定である.計画では初年度に栽植密度処理を行う予定であったが,測定方法に習熟が必要であるため,窒素処理を初年度に実施することとした.処理として窒素追肥時期を栄養成長期,二重隆起期,節間振長期の3期を設定した. 2.試験の状況 (1)毎週または各週で群落内の波長別光エネルギー,受光PPFD(瞬間値),LAI,吸光係数,上位展開葉の葉色,茎数,主茎の葉齢を非破壊で継続調査している. (2)各週で一定面積の地上部を採取し,地上部を測定している.保存した乾燥サンプルは平成23年度に購入するウィレー粉砕器で粉砕し,窒素含有率を測定する予定である. (3)圃場中央部の地上1.5mに光量子センサーを設置して群落上部に入射するPPFD(入射PPFD)の日積算量を測定している. 3.現在までに得られた結果の概要 上記(1)~(3)の測定は順調である.LAIは2月後半から急激に増加し,ほぼ同時期にR/FRは急激な低下を示した.LAIはその後も増加を続け,4月中旬には6~7程度に達した.R/FRはLAIの増加と反比例するように低下し,4月前半に0.1程度となった.最大茎数は1個体あたり15本程度であり,最高分げつ期は3月中旬であった.コムギ群落の発達過程と光環境について,これまで報告例のない圃場レベルでのデータが得られている.圃場試験は6月に終了するが,その後,発育形態に関する指標(最大茎数,出葉間隔,相対分げつ増加率)と群落内の光環境との関係について解析を進める予定である.
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