ダイズの葉においては、窒素濃度は子実肥大開始期に最大に達し、以降減少していくことから減少分の窒素は子実に再転流されたと考えられた。このように葉からの再転流窒素は、品種によって大きく異なったが、再転流窒素量多くても必ずしも子実収量が高いとは限らなかった。逆に品種タマホマレにように、再転流窒素がもっとも少なかったが、子実収量は比較的高かったことから、タマホマレでは子実肥大開始後の窒素どうか能力が高いことが示唆された。この仮説を確かめるため、培養液栽培実験より開花後及び子実肥大開始後に培養液の窒素濃度を高めた結果、再転流窒素に依存性の高いサチユタカでは、開花期の高窒素処理により、また、再転流窒素に依存性の低いタマホマレでは子実肥大開始後の高窒素処理によって子実収量が有意に増加した。このような品種間差異は、圃場実験における追肥実験でも同様な結果が確認された。したがって、本研究課題の成果により、ダイズの窒素同化及び利用機構の品種間差を考慮し、今後のダイズの多収栽培における窒素肥料管理に応用できると期待される。
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