稲作随伴雑草が本当に稲作の伝播とともに日本に侵入し、拡散したのかという雑草学における根本的問題の解明を目指し、タイヌビエを日本各地から収集するともに、その地理的変異を分析した。692系統のタイヌビエを収集した。タイヌビエの小穂形状と葉緑体DNA変異には日本国内で地理的傾向変異があり、タイヌビエが人為的に拡散した可能性を示唆する結果を得た。近畿地方や福岡県は日本において最初に水田稲作が拡がった中心的な地域であるが、それらの地域では小穂C型や葉緑体1型の頻度が極めて高かった。タイヌビエの日本への侵入拡散と水田稲作の伝播との関連性を推定していく上で注目される変異であることを確認した。
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