研究課題/領域番号 |
22580018
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
猪谷 富雄 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (60087898)
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キーワード | イネ / 遺伝資源 / 赤米 / 紫黒米 / アントシアニン / 醸造 |
研究概要 |
平成23年度は、大学研究水田において、在来種を中心としたイネ250余の品種・系統を均一条件下で、また飼料イネを中心として異なるNレベルで栽培し、出穂期・成熟期・稈長/穂長・穂数・収量・倒伏性などの諸特性を調査した。さらに、収穫・調製した玄米を対象に、外観品質(サタケ穀粒判別器)、アミロース含量(ヨード・ヨードカリ法)、タンパク質含量(CNコーダー)などを分析した。紫黒米の一部品種・系統についてはポット栽培で窒素・リン酸・カリの施用量試験を行い、アントシアニン含量の定量を行った。直播適性を判定するために、わが国の代表的な直播向き品種とアメリカの奨励品種を栽培し、その形態的特性を比較するとともに、シャーレを用いたストレス下の発芽試験を行った。 その結果、飼料イネの地上部収量はNl4g/m^2のレベルで頭打ちとなり、また乳牛による消化性の低い籾の収量が低く、ワラ収量が高く、ホールクロップサイレージに向いた品種を明らかにし、さらに栽植密度により、籾の割合すなわち収穫指数が大きく変わることなどを明らかにできた。紫黒米のアントシアニン含量に対しては、肥料の影響は明確ではなかった。発芽試験では、低温条件下での発芽性に大きな品種間差異があることなどを明らかにした。また、平成23年度農業生産技術管理学会全国大会において、「赤米および紫黒米の醸造試験」を発表し、利用面の事例を紹介した。その他、江戸時代の諸資料から陸稲、赤米などイネに関わる歴史を整理し発表した。また、DNAレベルの解析により在来の赤米や香り米の遺伝的解析を進めており、来年度中に成果をまとめることができるように進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
極めて多数の品種を比較栽培しているので調査・分析に手間がかかるが、実験内容によっては過年度からのデータを参照して品種を絞りながら研究をすすめており、おおむね予定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
在来イネ品種の多面的評価の項目として研究が遅れているのは、健康機能性に関わる成分すなわちポリフェノールやフィチン酸の定量および抗酸化活性の測定である。平成24年度に集中して実施する。また、国内外から収集した香り米品種群の種子更新と香気成分の分析を行う。12月までに諸データを整理し、多様なイネの活用法の整理も行ない、農家に役立つ情報を載せた特性表を公刊する。
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