菊型と呼ばれる草姿を持つソバの系統がカナダで育成された.この系統は生育初期に伸長する主茎の下位節間が短く,大きな主茎葉が地表を覆うように成長し,側枝が地表を這うように生長する.しかし,この系統は日本で栽培するとその特徴的な草姿が発現しない.本研究はその原因を探ることを目的とした.本年は日長時間を16,17および18時間とし,名古屋の自然日長(約14.5時間)との間でソバの生長を比較した.また,昼夜気温を一定として25℃と20℃条件下での生長の比較を行い,これまでの結果とあわせて結論を得ることを目的とした.その結果,日長が16時間以上の長日条件では,葉の大きさには影響が小さく菊型的ではなかったが,主茎の短い下位節間の数が増え,側枝の発生角度が大きくなり,菊型の草姿が発現することが明らかになった.16時間以上の日長時間による生長の差異は小さかった.一方,昼夜20℃の低温では昼夜25℃の高温に比べて,主茎下位の短い節間の数は減少して菊型的ではなくなるが,側枝の発生角度が大きくなり,葉が大きくなり,菊型の草姿が発現することが明らかになった.以上の結果から,カナダではソバ菊型系統の特徴的な草姿が発現するのに日本では発現しないのは,カナダのソバの生育初期は日長時間が16時間で,平均気温が17℃であるのに対して,日本の名古屋では日長時間が14.5時間で,平均気温が23℃もあることが原因と考えられた..
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