研究課題
平成22年度に、アブラナ科の新花色品種育成目標の中心となるストック(Matthiola)の花をはじめとし、ヘリオフィラ(Heliophila)の花、マルコルミア(Malcolmia)の花、オーブリエタ(Aubrieta)の花およびチェイランサス(Cheiranthus)の生花弁の吸収スペクトル測定が終了したので、平成23年度は、乾燥花弁が十分な量に達した物から色素の分析をはじめた。その中でも、ストックの花に青色を導入する際に必要となると考えられるヘリオフィラの花の色素の構造決定および花色の発色機構に関しての実験、および、オーブリエタの花の同一種内での花色の変異機構に関しての実験が完了し、学会発表および学術論文として投稿した。また、新花色品種育成目標の中心であるストック自体の、現存する花色品種における発色機構を体系化することもでき、園芸学会雑誌に学術論文として投稿することができた。アブラナ科のモリカンディア・ランブリーにおいて、花色と花色素の関係が学会発表できたので、論文としても投稿する予定である。その他、アブラナ科花卉の花色の研究に応用可能な他科の植物についても複数の結果を得ており、そのうちのアサガオに関しては論文をまとめることができた。また、マルコルミアの同一株内での花色の変異機構に関しては、花弁の採集を進め、色素の精製を行ったところ、アントシアニンとしては非常に大きな分子量の色素であることが予想されるデータを得た。このため、さらに詳しい実験のために再度栽培を行い、花弁の収集を行った。
1: 当初の計画以上に進展している
計画書の予定通り進んでおり、ストック、ヘリオフィラ、オーブリエタは学術論文として投稿まで済んでいる。チェイランサスについては昨年度に学会発表が済んでいる。その他、本研究に利用できる他のアブラナ科植物の花色と花色素についても学術論文として投稿できていることから、当初の計画以上に進展していると判断した。
今後の研究は、予定した内容の残りを進めるとともに、本研究のまとめに利用可能と考えられる他の材料も実験に用いていく予定である。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
Phytochemistry
巻: 72巻 ページ: 2219-2229
Doi:10.1016/j.phytochem.2011.07.020
J.Japan.Soc.Hort.Sci.
巻: 80巻 ページ: 452-460