古代植物堆積層由来のフルボ酸処理がサラダナの生育,糖含量,ポリフェノール含量,抗酸化成分含量,ミネラル含量およびDPPH抗酸化活性に与える影響を明らかにする目的で,サラダナ ‘レッドファイヤー’を供試し,各種処理区を設けた養液栽培を行った.その結果,フルボ酸0.5%・pH6.5区および塩酸・pH4区の新鮮重は対照区と大きな差はないものの,フルボ酸0.5%・pH4区では対照区に比べ有意に減少した.同様にフルボ酸0.5%・pH4区では葉の水分含有率が最も低く,蒸散速度も対照区より有意に低いことから,フルボ酸0.5%・pH4区では,フルボ酸によるストレスにより水の吸収阻害が起こることが生育阻害の要因として考えられた. 一方,フルボ酸0.5%・pH4区の全糖含量,アントシアニン含量,ポリフェノール含量およびDPPH抗酸化活性は,いずれも対照区より高く,一部の値は塩酸・pH4区より高くなったことから,フルボ酸添加による効果はpHの低下のみによるものではないことが推察された.逆にミネラルはCaの含量が対照区より低く,蒸散が抑制されることで特にCaイオンの吸収が阻害されていることが示唆された. 本実験の結果,フルボ酸0.5%(pH4)を収穫前2週間の間処理することにより,糖含量や機能性成分含量を高めることができるが,株の生育も抑制されることから,0.5%以下の濃度のフルボ酸濃度や処理期間の短縮を進めることにより,生育量を減少させずに付加価値の高い商品作物を生産する技術を開発する事が可能であると考えられた.
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