①昨年までの研究おいて判明している,各種光質下で栽培したペチュニアの遺伝子群動態について,昨年に引き続き花成誘導に関係している可能性が高いELF4様遺伝子(PhELF4)解析を進めた.PhELF4-1とPhELF4-3のcDNA全鎖長をアミノ酸翻訳したところ、同じナス科の植物であるトマトのELF4様遺伝子と、PhELF4-1は65%、PhELF4-3は69%の相同性を示した.また, PhELF4-1の発現は明期開始12時間後にピークに達するが、それ以外の時間帯ではそのレベルは非常に低くなった. PhELF4-1の発現は,開花が促進される青色光下で強く発現し,開花が抑制される赤色光下で発現が半減する傾向があったことから,PhELF4-1は青色光下での早期花成誘導に関係している可能性があることが示された. ②育苗時の光質処理による,花成ならびに草姿の制御を目的として,ペチュニア幼植物体への光質処理ならびに植物ホルモン処理が,処理終了後の生育に及ぼす影響を評価し,育苗時における成長調節処理技術の可能性について検討した.光質とCPPU処理により草姿と花成に違いが表れたが,反応は品種によって様々であった.供試した品種のいずれにおいても,育苗中の青色光による主茎伸長と開花の促進効果が見られた.一方,育苗中の赤色光によって側枝数が増加したが,CPPU併用処理により花成誘導が促進されるとともに主茎伸長が抑えられた.また,育苗期間中の,青色光照射期間が増えるほど開花が早まることも判明した.以上の結果から,育苗時の赤色光照射処理とCPPU処理によってペチュニア主茎の伸長を抑えることが可能であると考えられた.また品種によっては,育苗時の赤色光と青色光の照射期間を変えることで,草姿を維持しつつ開花時期を調節できる可能性が示唆された.
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