研究概要 |
低炭素社会のためには,夏季における緑化によるパッシブな冷却が空調のエネルギー負荷を減らすために不可欠である。しかし,どのような形状の植物を,壁面緑化や屋上緑化に使用した場合に,最大の効果が得られるかなどについては,解析的研究がほとんど行われていない。そこで,本研究では,植物形状を考慮した,建築物および都市のエネルギー収支モデルの構築と,屋上,壁面緑化の都市冷却へのより詳細な評価を行えるようにすることを目的とする。 本年目は,一つの建物を屋上緑化,壁面緑化した場合の,シミュレーションモデルの作成をおこなった。シミュレーションモデルは,植物形状モデリングにより,使用した植物によりできる影を考慮したモデルとした。そして,植物の蒸発量と建物全体でのエネルギー収支の計算を行った。そのため,以下のようなサブモデルの開発を行った。 1.緑化に使用する,さまざまな種類の植物形状モデルの作成。2.建築物上への植物の三次元的な配置モデル。3.植物の形状から,植物の影の計算をおこなうモデル。5.建築物と,植物のエネルギー収支,表面温度計算モデル。 エネルギー収支の計算過程で,植物表面温度,さまざまな点での建物表面温度,建物内気温などが計算され,熱の流れも計算された。以上の結果から,緑化しない場合に比べ,屋上や壁面を緑化した場合,さまざまなケースで,どの程度夏季の冷房付加を低くし省エネルギーができるかを予測することが,計算上可能となった。
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