今年度は、'ナイアガラ'および'コンコード'の無種子化のための好適処理薬剤および濃度を明らかにするために、ジベレリン(GA、GA_3およびGA_4:100および300mg・L^<-1>)と合成サイトカイニン〔ホルクロルフェニュロン(CPPU):10および20mg・L^<-1>、ベンジルアデニン(BA):1000mg・L^<-1>の満開15日前と10日後の2回の単用および混用処理による無種子化効果を検討した。その結果、両品種において単用処理ではGA_3およびGA_4のいずれの濃度でも果粒は粗着となり、無種子化効果は著しく低く、GAの種類による差異はみられなかった。また、両濃度のCPPUとBAではいずれも無種子化効果はほとんどみられなかった。しかし、300mg・L^<-1>GA_3と両濃度のCPPUとの混用処理では着粒数は多く密着し、無種子化が図られ、高濃度のCPPUの方が、また、'ナイアガラ'より'コンコード'に対してより効果的であったものの、両品種ではいずれも実用化に達しないレベルであった。また、BAとの混用処理でも無種子化効果は低かった。今年度は、'巨峰'の無種子化においても、例年に比べ無種子化効果が低下したことが生産圃場でもみられたことから、無種了化を阻害する何らかの内的あるいは外的影響の存在が推察された。以上の結果は両品種における無種子化効果をより安定化させる方法を追究しなければならないことを示唆するものであるものの、予備実験の結果もあわせて、300mg・L^<-1>GA_3と20mg・L^<-1>CPPUとの混用処理がより効果的であると推察された。なお、満開期にすべての処理区での花粉および子房を採取し、花粉発芽および胚のう形成の調査の準備は整えたが、無種子化効果の結果から、影響については明らかにならないと判断されたことから、この点については、次年度に好適処理時期の検討と別に調査を行うこととしたい。
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