研究課題/領域番号 |
22580031
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小原 均 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 准教授 (40160931)
|
研究分担者 |
大川 克哉 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 助教 (00312934)
|
キーワード | 園芸学 / 果樹 / ブドウ / 無種子化 / 植物ホルモン |
研究概要 |
今年度は、昨年度の結果から'ナイアガラ'および'コンコード'の無種子化に最も効果的であった300mg・L^<-1>GA_3と10および20mg・L^<-1>ホルクロルフェニュロン(CPPU)との混用液の好適処理時期を明らかにするため、第1回目処理を満開21日、14日、10日、8日および0日前(第2回目処理はいずれも10日後)として無種子化効果を調査した。その結果、無種子果率(果房の全果粒数に対する無種子果粒数の割合)は、両品種ではともにCPPUの濃度に関わらず処理時期が満開日に近づくにつれて低下する傾向にあり、14日前処理で実用レベル(95%以上)になった。一方、満開14日前および10日後の300mg・L-1GA3およびGA4ならびに20mg・L^<-1>CPPUの単用処理効果を再調査した結果、GA_3処理では両品種間に差異はなかった(約70%)が、GA_4およびCPPU処理においてそれぞれ'ナイアガラ'では約70%、21%であったのに対し、'コンコード'では約3%、74%であった。他方、これら単用処理と同時期のGA3_とCPPUとの混用処理における満開日の胚のう形態を検鏡した結果、異常胚のうの割合は'ナイアガラ'では混用処理で最も高く(約56%)、次いでGA_4、CPPU、GA_3単用処理の順であったのに対し、'コンコード'でも混用処理で最も高かった(約57%)ものの、CPPU、GA_3、GA_4単用処理の順に高かった。以上のことから、両品種の無種子化には、実用上を考慮すると満開14日前の300mg・L^<-1>GA_3と10mg・L^<-1>CPPUとの混用処理が好適と考えられた。また、両品種ではGA_4とCPPUの単用処理に対する無種子化効果が異なることから、内生GAおよびサイトカイニンの種類に違いがある可能性が考えられた。一方、無種子化には異常胚のうの割合が高まることが一因であるものの、主因ではないと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに難無種子化ブドウの無種子化の方法については明らかとなったものの、難無種子化のメカニズムについては一部明らかとなっただけであるため。
|
今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度がやや遅れている理由に記したように、難無種子化のメカニズムについては処理による雌性器官に対する影響として胚のう形成にかかる知見が得られたのみである。処理による雄性器官に及ぼす影響として満開期の花粉も採取したが、設定した処理区が多すぎたため、その採取に予想外の時間を要し、処理ではなくそのことにより花粉稔性が著しく低下してしまったことから、好適処理方法をもとに処理区を絞り込んで雄性器官に及ぼす影響について調査を行う。また、内生植物ホルモン分析では、試料採取から抽出・精製までは行ったものの、GC-MSでの何らかの原因により内生植物ホルモンを検出できない状態が続き、年度内にデータが得られなかったことから、早期にGC-MSを良好な状態に調整し、分析を行う。以上の調査・分析を通して、難無種子化のメカニズムについてさらなる検討を行う。
|