昨年度までの結果から実用上好適と考えた300 mg・L-1 ジベレリン(GA3)と10 mg・L-1 ホルクロルフェニュロン(CPPU)との混用の1回目および2回目処理を満開12日前および12日後に行い、無種子化効果の再現性と、主に胚珠形成を阻害して無種子化を誘起すると考えられている200 mg・L-1ストレプトマイシン(SM)を1回目処理に混用した効果を検討した。また、慣行の果房管理を行い、収穫期の果実形質および品質を有種子の無処理果房と比較した。その結果、‘ナイアガラ’および‘コンコード’の無種子果率は、GA3とCPPUとの混用処理では82.5%、99.7%、SMも混用した処理では94.0%、100%となり、SMも混用した処理でも‘ナイアガラ’では実用化レベル(95%以上)に至らなかった。このことから、‘ナイアガラ’は極めて難無種子化品種であると推察された。GA3とCPPUとの混用処理における果房長、果房当たりの果粒数、無種子果粒重、無種子果粒の糖度および酸度は、無処理果房と比べて‘ナイアガラ’では約107%、106%、84%、103%、82%、‘コンコード’では約116%、132%、82%、95%、155%となり、両品種でともに果粒重は小さくなり、品質には果粒数の多少が影響すると考えられた。一方、GA3およびCPPUの単用処理と混用処理における花粉発芽率は、両単用処理、混用処理で無処理の約25%以下、53%であり、花粉発芽は阻害されるものの混用による相乗効果はみられなかった。このこととSMとの混用処理ならびに昨年度の異常胚のうの出現割合の結果から、両品種が難無種子化である原因は胚のうの発達阻害が無種子化が容易な品種に比べて起きにくいためと推察された。他方、開花結実期における内生のGAおよびサイトカイニンの挙動は研究期間内に明らかとならず、継続して分析中である。
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