研究課題
平成24年度は南九州地域、屋久島および奄美大島における調査を継続し以下のような結果を得た。(1)温暖化条件でのタンカンの適正台木を選抜するために、鹿児島県島嶼在来カンキツ、導入カンキツなど15種類の台木を供試し、着花・結実および果実品質との関係について調査した結果、樹体発育、着花・結実,果実品質は台木によって差があり、これがタンカンにおける連年安定生産に大きく影響していると思われた。すなわち、カラタチは若木から着花し、果実品質も良好であるが、着果過多になりで樹体が衰弱しやすいこと、シトレンジやスウイングルシトルメロは若木の樹勢、着花・結実は良好であるが、果実品質がやや不良であること、シークワーシャーやコズなどは、若木から着花・結実や果実品質が不良であることから、現場では永久樹目的のカラタチ台と早期結実目的のシトレンジおよびシトルメロ台を組み合わせて植栽することが望ましいことを示した。(2)-①着花・結実特性、果実の発育・品質の面からみると、タンカンでは直葉数4~5枚の有葉果が果実の発育や品質が良好で、摘果など栽培技術によってそのような有葉花を着生させ、結実させることが望ましいことを明らかにした。③タンカンでは着果負担が増加すると、根(特に直径5mm程度の中根)のデンプン含量が著しく低下し、翌年の着花の減少と隔年結果が助長されることから、太根のデンプン含量がタンカンの適正着果の指標として用いることが可能であることを明らかにした。(3)-①温暖化条件下の奄美大島で、最終摘果時期に関する試験を行い、最終摘果時期は10月中下旬で果実品質が良好であり、10月以前の摘果では果実が大きく、品質がやや低下すること、11月以降の摘果では翌年の着花が不良になる可能性が高いことを明らかにした。(4)-果樹は永年生作物であるので、平成25年以降も調査を継続し、地域別の高品質安定生産技術を確立する。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Japan Soc. Hort. Sci.
巻: 82(2) ページ: 103-113