研究課題/領域番号 |
22580040
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
立石 亮 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (30267041)
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キーワード | 果実の軟化 / 細胞壁 / 多糖類 |
研究概要 |
リンゴは成熟すると果肉が軟化して可食状態となるが、その日持ち性や肉質(食感)については品種間で著しい差異が認められる。成熟に伴う肉質の変化は果実品質を大きく左右することから、消費者に優れた状態の果実を提供する上で重要な問題となる。本研究では、リンゴの成熟あるいは収穫後の肉質変化、とくにリンゴにおける食感低下の主要因ともいえる粉質性について、品種間の粉質化度の差異を利用して、その形成に関わる酵素遺伝子群について同定し、形成機構を明らかにすることを目的としている。その一つとして、粉質化に品種間差異を示す2種のリンゴを用いてSSHによって遺伝子群の単離を試みている。一方、最近、海外のグループが細胞壁を構成するアラビノースを遊離するα-アラビノフラノシダーゼがリンゴの粉質化に影響している可能性を示した。しかしながら、ここで示されたのは同酵素をコードしている可能性のある遺伝子情報であり、実際に遺伝子によってつくられるタンパク質がアラビノフラノシダーゼとして機能するかは明らかにされていない。これは高等植物由来の細胞壁分解酵素が異種細胞系において効果的に発現できないことに起因する。リンゴの粉質化にアラビノース代謝が必要であるかを調べるために、多糖類分解酵素の異種細胞系による発現を試みた。また、既知の遺伝子配列情報を利用して、この2品種におけるα-アラビノフラノシダーゼ様酵素遺伝子の発現を比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
供試果実からのRNA抽出において、多糖類の混入が大きな問題となり純度の高いRNAを得ることが困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
RNAの抽出も進み、おおむね順調に進展しつつある。リンゴの収穫が年に1回であるため、適切な材料の入手が難しい。また、研究実績でもふれたが、高等植物由来の細胞壁分解酵素の異種細胞系における発現システムの構築が急務である。多くの酵素はその基質特性について遠縁の生物種のごく少ない情報をもとに推定されているだけである。これは、SSHによって得られた遺伝子の機能を明らかにするうえで必須である。この計画は新規に追加され行う必要がある。
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