(1) マンゴー交雑特性の解析 ‘Irwin’と‘紅キーツ’を同一ハウス内で栽培し、ミツバチを導入して自然受粉させ、得られた実生集団の花粉親をSSRマーカーによって識別したところ、両品種がともに開花している期間に得られた種子は77%が品種間交雑個体になっていた。このことから、‘Irwin’と‘紅キーツ'では自家不結実性が比較的強く、両品種を混植することにより交雑種子を容易に得ることができると考えられた。マンゴーは人工受粉による種子の採取が極めて困難であるため、自然受粉による交雑実生の獲得が容易になれば、育種効率の向上につながる。一方で、自家不結実性には品種間差異があると考えられ、今後、品種による交雑特性の違いを確認する必要がある。 (2) マンゴー果皮色連鎖マーカーの探索 オーストラリア・クイーンズランド州第一次産業省熱帯農業センターにて育成されている交雑集団(Irwin×Kensington Pride)を利用し、マンゴーの果皮色(赤色果皮)に連鎖する分子マーカーの探索を進めている。Bulk法を利用して200種のプライマーセットでAFLP解析を行ったところ、いくつかの候補マーカーが得られたので現在これらのマーカーについて詳細な解析を進めている。 (3) DNAマーカーによる交雑親識別技術の開発 これまでに開発されている8種類のSSRマーカーを用いることで効率よく交雑実生の親を識別することが可能となった。しかし、花粉親と種子親が近縁である場合、親の特定が出来ない実生が出てくるため、より効率の良い識別マーカーを検討する必要がある。
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