研究概要 |
(1)マンゴー交雑特性の解析 '愛紅'の自然交雑実生93個体について、9種類のSSRマーカー(MIAC-2,MIAC-5,MIAC-6,MIAC-11,MIAC-44,LMMA-1,LMMA-10,MiSHRS-1,MiSHRS48)を用いて花粉親の特定を試みた。その結果、'愛紅'の自家受粉によって生じた実生は33個体(約35%)となり、自家結実性が比較的強いと考えられていた'愛紅'においても他家受粉による結実が優位であることが示された。 (2)マンゴー果皮色連鎖マーカーの探索 オーストラリア・クイーンズランド州熱帯農業センターにて育成されている交雑集団(Irwin×Kensington Pride)を利用し、マンゴーの果皮色(赤色果皮)に連鎖するAFLPマーカーの探索を進めた。Bulk法を利用して約200種のプライマーセットを用いてマーカーの単離を試みているが、これまでに果皮色に連鎖したマーカーは得られていない。果皮色マーカーと平行して、多胚性に連鎖するAFLPマーカーの探索も進めているが、こちらも連鎖マーカーの単離にはまだ至っていない。一方、マンゴー果皮で発現しているMYB遺伝子を単離し、その周辺領域の解析を進めると共に果皮色との関連を調査している。 (3)DNAマーカーによる交雑親識別技術の開発 (1)で挙げた9種類のSSRマーカーを用いることで自家・他家受粉による実生を区別することが可能となった。近畿大学附属農場で栽培されている品種について、各品種の持つSSR遺伝子座のallele情報を整理することが出来たが、交雑個体の遺伝子型から確実に花粉親を特定するためにはまだ十分なデータが揃っておらず、引き続きマーカー数を増やして解析を進める予定である。
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