(1) マンゴー交雑特性の解析 平成22年度と同様に‘Irwin’と‘紅キーツ’を同一ハウス内で栽培し、ミツバチを導入して自然受粉させ、得られた実生集団の花粉親をSSRマーカーによって同定し、品種間交雑の発生割合を調査したところ、’Irwin’実生では約6割、’紅キーツ’実生では約9割が品種間交雑により生じた個体であることが判明した。’紅キーツ’実生と比べ’Irwin’実生で他家受粉率が低くなっているのは、ハウス内に’Irwin’樹が多く植栽されているためであると考えられた。これまでの結果から、マンゴーにおいては自家受粉が起こりやすい環境下でも、他品種を混植することで他家受粉が積極的におこることが明確になった。 (2)マンゴー果皮色連鎖マーカーの探索 今年度は、マンゴーにおけるmyb遺伝子の単離およびプロモーター領域の解析を進めた。マンゴー果皮からRNAを抽出し、degenerate primerを用いてmyb遺伝子の一部領域を増幅した後、3’-および5’-RACE法によりmyb遺伝子(Mimyb1)の全長を単離した。推定アミノ酸配列から、Mimyb1は他の植物においてアントシアニン合成を制御するとされるmyb遺伝子群と高い相同性を示していた。さらに、マンゴーゲノムライブラリーからMimyb1を含む領域を単離し、周辺領域の解析の塩基配列を決定したところ、プロモーター領域およびイントロン領域にマイクロサテライト配列があることが確認された。品種間でマイクロサテライトの反復数に変異が確認されたが、果皮色との関係は確認できていない。引き続き、既存品種や交雑集団を用いた解析を進め、Mimyb1と果皮色との関連性を調査する予定である。
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