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2011 年度 実績報告書

モモ果実成熟初期のエチレン生成に及ぼすオーキシン作用の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 22580044
研究機関独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

立木 美保  独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所 栽培・流通利用研究領域, 主任研究員 (10355381)

キーワードモモ / エチレン / オーキシン / 果実成熟
研究概要

硬肉モモと溶質モモを用いたマイクロアレイ解析から、モモ果実成熟初期のエチレン生成にオーキシンが関与している可能性が考えられている。そこで、今年度は溶質モモ果実にオーキシン生合成および作用阻害剤処理を行い、エチレン生成に及ぼす影響について解析した。収穫適期の硬度よりやや硬めの3.5-4kgぐらいの果実を選別し、果実の赤道面をコルクボーラーで果皮から核に向けて打ち抜き、果肉ディスクを作成し、阻害剤を塗布した濾紙上に並べ阻害剤処理を行った。その結果、用いた5種類の生合成阻害剤および1種類の作用阻害剤において、エチレン生成の抑制とACC合成酵素遺伝子発現の抑制効果が認められた。以上の結果より、溶質モモの成熟果実におけるエチレン生合成にはオーキシンが影響を与えていることが明らかとなった。
モモ成熟期間を通じた核(種子)のサンプリングを行ったところ、硬核期の後半から溶質モモ「あかつき」では種子の死滅が多く認められた。「あかつき」間で比較すると、種子の死滅、正常に関わらず、果実肥大、成熟は進行していた。一方、硬肉品種である「まなみ」では、正常種子の方が多く認められた。また、果肉におけるIAA含量を検出感度の高い手法により測定をやり直したところ、溶質モモ果肉では、生育期間を通じて一定量のIAAは検出されており、硬核期以降一端減少するものの、成熟適期には増加していることが明らかとなった。このように、種子の状態とは関係なく、果実成熟は進行し、成熟果実においてIAA合成可能なことから、種子由来のIAAが成熟期のエチレン生成に及ぼす影響は小さいと推測された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

溶質モモの果肉成熟期のエチレンにオーキシンが関与していることを、オーキシン剤添加試験と阻害剤処理試験の両方向から証明することができた。更に溶質モモと硬肉モモの果肉IAA含量を測定し、硬肉モモでは成熟後期にIAA含量が増加しないことを証明した。また、硬肉モモにおけるIAA含量の低下は、IAAの輸送ではなく、生合成能の低下によって引き起こされるものであると推測された。

今後の研究の推進方策

オーキシン阻害剤等の処理によって、モモ果実におけるエチレン生成を抑制し、日持ち性を高める技術に発展できるか検討するために、樹上における阻害剤処理等を行う。更に、硬肉モモにおける変異を明らかにするために、IAA生合成経路に関する遺伝子の発現等を詳細に解析する。

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公開日: 2015-07-13  

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