研究課題
昨年度までの解析から、モモ果実における内生IAA含量は幼果期に高く、果実の生長に従い徐々に低下し続け、成熟直前に検出限界以下となるが、その後溶質モモでは急激に増加し、それに伴いオーキシン誘導型のエチレン生合成酵素PpACSlが誘導されることでエチレンが生成され、軟化することを明らかにした。そこで本年度は、溶質モモにおいて収穫後のオーキシン生合成を抑制することによってエチレン生成および果肉硬度に及ぼす影響について検討した。収穫翌日の「川中島白桃」果実にオーキシン生合成阻害剤処理をすると、収穫4日後に全ての阻害剤処理区においてpACSlmRNA発現が抑制され、エチレン生成量は無処理よりも低い値を示した。また、肉硬度についても収穫4日後には全ての阻害剤処理区において無処理より低い値となった。以上の結果から、収穫後におけるIAA生合成阻害剤処理は、溶質モモ果実の軟化抑制に有効である可能性が高いと考えられた。これまでに硬肉モモは、溶質モモとは異なり収穫期に達しても内生IAA含量が低いためエチレン生成量が増加しないため軟化しないことを明らかにしている。硬肉モモは外生エチレン処理によって果肉硬度は低下するが、粉質化するなど溶質モモとは異なる肉質となることが知られていた。そ、こで、硬肉モモの軟化に及ぼすオーキシンの影響を明らかにするために、硬肉モモ「まなみ」にオーキシン剤処理をすると、エレン生成起こり軟化したが、直接エレンるほどはしないことが明らかとなった。以上の結果より、モモの軟化に関連する細胞壁修飾酵素等もオーキシンの影響を受けることが推測された。
(抄録なし)
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J. Exp. Bot.
巻: 64 ページ: 1049-1059
10.1093/jxb/ers381