研究課題/領域番号 |
22580045
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
西島 隆明 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 花き研究所・花き研究領域, 上席研究員 (60355708)
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研究分担者 |
仁木 智哉 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 花き研究所・花き研究領域, 主任研究員 (70355709)
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キーワード | 花形 / 副花冠 / サイトカイニン / 花芽分裂組織 / 分裂組織形成関連遺伝子 / サイトカイニンシグナル |
研究概要 |
本年度は、発達初期~中期の花芽において、サイトカイニンの分化を阻害し、内生サイトカイニンを蓄積させるホルクロルフェニュロン(CPPU)を花芽に与えたときの、サイトカイニンシグナルの花芽内における分布と花形変化との関係を明らかにすることを目的とした。 まず、サイトカイニンシグナルの強さの指標となるタイプAレスポンスレギュレーター(TfRR1)遺伝子ならびにサイトカイニン酸化酵素遺伝子TfCKX5の発現領域の花芽における分布を、in situハイブリダイゼーション法によって調べた。その結果、雄ずいおよび花弁が未分化な発達初期の花芽では、TfRR1ならびにTfCKX5の発現領域は花芽分裂組織に限られるが、CPPU処理によって、がく片原基にまで拡大した。やや発達が進み、雄ずいの原基が形成されたステージでは、CPPU処理は、幅広い形の副花冠の形成される部位である雄ずい原基の基部で、これらの遺伝子の発現を高めた。さらに発達が進み、花弁が伸長しているステージでは、CPPU処理は、副花冠の原基が形成される花弁の縁辺部で、これらの遺伝子の発現を高めた。また、CPPU処理によってトレニアと同様に副花冠が発生するペチュニアの花芽においても、処理によってタイプAレスポンスレギュレーター遺伝子(PhRR1,2,3)ならびにサイトカイニン酸化酵素遺伝子(PhCKX1,2の発現が花弁で著しく促進され、この現象が普遍性を持つものであることが示唆された。 以上の結果から、トレニアの花芽へのCPPU処理によって高いサイトカイニンシグナルが発生する部位は、花芽発達のステージによって異なり、発達初期ではがく片、雄ずい等の原基に、溌達中期では花弁の縁辺部に生じることが明らかとなった。これらの高いサイトカイニンシグナルの発生部位は、CPPU処理によって花弁数の増加や副花冠の形成が誘導される部位と一致しており、これにより分裂組織が異所的に形成され、花形変化を誘導していることが予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、平成22年度に、花芽発達中期の花芽におけるサイトカイニン応答性遺伝子、分裂組織関連遺伝子の発現状態が明らかになり、平成23年度には、花芽発達初期の花芽におけるサイトカイニン応答性遺伝子の詳細な発現部位の分布を明らかにできた。これらの成果から、CPPU処理による花形変化のメカニズムが順調に明らかになりつつあるため、計画は順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
計画は順調に進展しており、本計画の基になった作業仮説が順調に証明されつつある。したがって、今後も、当初の計画通り研究を推進する予定である。
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