研究課題/領域番号 |
22580052
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
大西 浩平 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 教授 (50211800)
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研究分担者 |
曳地 康史 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 教授 (70291507)
木場 章範 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 准教授 (50343314)
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キーワード | フェクター / ゲノム / 遺伝子 / 植物病理学 |
研究概要 |
青枯病菌は、トマトやナス等広範囲の植物に感染する植物病原細菌である。その病原性には3型分泌系およびそこから分泌されるエフェクターが必須である。青枯病菌は他の植物病原細菌と比べてより多種類(70種類以上)のエフェクター分子を保有しており、宿主域の広さとの関連性が想定されている。しかし、個々のエフェクターの機能については不明な点が多く、また1種類のエフェクター分子を欠失させた変異株において、その病原性にはほとんど影響がないことが多い。そこで、本研究は、エフェクター分子を複数欠失させ、その変異株の病原性を調べることで、エフェクターの機能を解析することを目的としている。最終的には、すべてのエフェクター分子を欠いた変異株を構築するが、本年度までに、特定のエフェクター群(Galaファミリー7遺伝子、SKWPファミリー6遺伝子、HLKファミリー3遺伝子)に焦点をあて、それらすべてを欠失した株の構築を行った。一方で、別の2種類のエフェクター遺伝子avrAとpopP1についても詳しく解析した。2つの遺伝子は青柄病菌GMI1000のタバコに対する病原性を抑制する働きが示されている。青枯病菌の日本株はタバコに対して病原性を示す株と非病原性株の株に分類されるが、GMI1000株で見られたようなavrAとpopP1との関連性については明らかとなっていなかった。そこで2種類のエフェクター遺伝子について異なる遺伝子型を示す7株について、遺伝子の欠失、導入を行った株を作製し、タバコに接種したときの表現系を調べた。その結果、日本株においてはGMI1000で見られたようなavrAとpopP1とタバコに対する病原性の明確な関係性は確認できなかった。このことは、GMI1000と日本株ではタバコに対する病原性機構が異なっていることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エフェクター遺伝子欠失突然変異体作製のためのプラスミドの構築は、ほぼ終了しているものの、変異体の作製そのものは、半分程度に留まっているため。
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今後の研究の推進方策 |
変異体作製をスピードアップし、今年度中には完成させる。また、現在までに作製された変異体の中にも興味深いものがあるため、該当するエフェクターを認識する植物側の因子の探索も開始する。
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