研究課題/領域番号 |
22580053
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
津下 誠治 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (10254319)
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キーワード | イネ白葉枯病菌 / hrp / エフェクター / 植物-細菌相互作用 |
研究概要 |
1.イネ白葉枯病菌は30数個のエフェクターを植物細胞内に直接導入し、それにより植物抵抗性を抑制し、細菌感染を可能にすると考えられている。これらのエフェクターのうちLrpXおよちXopRについて、その機能解析を行った。LrpX発現タバコ(Nicotiana benthamiana)では、細菌処理時における抵抗性関連遺伝子の発現が有意に抑制されていた。また、XopR発現シロイヌナズナにおいても抵抗性関連遺伝子の発現が抑制されていた。LrpX,XopR欠損白葉枯病菌では、宿主イネに対する病原力が低下しており、これらのエフェクターを宿主の抵抗性遺伝子の発現を抑制することで、本細菌の病原力に寄与することが示唆された。 2.LrpXをはじめとする多くのエフェクターは、植物体への感染時に特異的に発現する。ここでは、その発現制御に関わる因子を探索した。その1つとしてH-NSと呼ばれる転写抑制因子を明らかにした。これはLrpXをはじめとし、他のエフェクターやそれらの分泌経路であるtype III分泌装置の構成遺伝子であるhrpの発現を負に制御するタンパク質であった。 3.LrpXとGFPとの融合タンパク質を発現するコンストラクトを作出し、これをN.benthaminaで発現させることによりLrpXの局在性を調べたところ、同タンパク質は植物細胞質内に局在することが明らかとなった。現在酵母two-hybrid system法およびin vitroおよびin planta pull-down assayにより、植物細胞内においてLrpXと相互作用するイネタンパク質の同定およびその機能解析について進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では、23年度終了時点までにLrpXと相互作用するイネ因子の同定を完了する予定であったが、未だそれに至っていない。しかし、現在それを進めており、ある程度候補を絞れていることから、まもなく同定に至り、この遅れを取り戻すことができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
LrpXと相互作用するイネ因子を同定すること、およびLrpX発現イネにおける遺伝子発現動態を解析することによって、イネ-白葉枯病菌の相互作用、とくに細菌感染に伴うイネの抵抗性発現機構とそれを抑制するLrpXの機能について明らかにする。
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