圃場抵抗性の機作の解明のため、圃場抵抗性遺伝子Pi34と真性抵抗性遺伝子Pibを保有するコシヒカリ同質遺伝子系統それぞれに対して親和性菌および非親和性菌を接種し、SuperSAGE法を用いて感染24時間後における網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、圃場抵抗性で真性抵抗性よりもより強く発現誘導あるいは抑制されるタグをそれぞれ584個、130個、真性・圃場抵抗性に共通して感染により同程度発現誘導・抑制されるタグをそれぞれ21個、8個、圃場抵抗性でのみ恒常的に発現するタグを17個得た。 Pi34候補遺伝子について、5’-RACE法を用いて完全長cDNA配列を取得した。また、本候補遺伝子の発現抑制個体の葉身に親和性いもち病菌を噴霧接種してリアルタイムPCRによる遺伝子転写量と表現型を解析した結果、接種24時間後の本候補遺伝子の転写量は減少し、抵抗性程度も低下したことから、本候補遺伝子がいもち病抵抗性に関与することが確認された。ゲノミックDNAを用いた候補遺伝子の相補性検定については、遺伝子を含むBACクローンのインサートを制限酵素Sau3AIで部分消化したサブゲノミックライブラリーを用い、現在形質転換コンストラクトを作成している。
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