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2011 年度 実績報告書

リポホリンによるクチクラ中の炭化水素輸送機構;エノサイトから体表まで

研究課題

研究課題/領域番号 22580057
研究機関北海道大学

研究代表者

片桐 千仭  北海道大学, 低温科学研究所, 招へい教員 (90002245)

キーワードリポホリン / クチクラ / 炭化水素
研究概要

昆虫の体表をおおっているワックス層の主成分は炭化水素である。炭化水素はクチクラの内側にあるエノサイトと呼ばれる細胞で合成される。合成された炭化水素はそのままクチクラを通過して体表に移行するのが近道である。けれども、それはできない。なぜなら、炭化水素は極めて疎水性が高いため、合成されても細胞内外の親水性の環境になじまず、炭化水素自身ではクチクラを通過できない。炭化水素は体液中に存在するリポホリンにいったん積み込まれ、はじめて体表に輸送される。リポホリンは直径約16nmのほぼ球形をしたリポタンパク質であり、その表面はリン脂質の親水基とアポタンパク質の親水部でおおわれている。炭化水素などの疎水性の脂質はその合成や貯蔵組織、器官からリポホリン内部に積込まれ、それぞれの脂質を必要とする組織や器官に輸送される。炭化水素が一度体液のリポホリンに積込まれ、そののち、体表のワックス層に現れることは、放射能でラベルした炭化水素をもちいたトレーサー実験で30年以上前に証明されている。ところが、リポホリンがクチクラのどこを通るのか、どこで炭化水素をおろすのかなど全く分かっていない。クチクラ中の蝋管をリポホリンは通過しているのだろうか。
家蚕幼虫の体表炭化水素量は、ステージが進むに応じて増加していた。これは、幼虫の各ステージでリポホリンは体表炭化水素を輸送していることを示している。リポホリンのアポタンパク質、アポリポホリンIとII、の両者がクチクラ中に存在することを、その抗体をもちいて確認したが、リポホリンをクチクラから精製することにはまだ成功していない。リポホリンの抗体をもちいて試みた免疫組織電子顕微鏡像からは、リポホリンがクチクラのたとえば蝋管などの特定の構造に存在することも、特定の分布を示すことも認められなかた。リポホリンがクチクラ中にランダムに存在していることを示すのみであった。
リンの抗体をもちいて試みた免疫組織電子顕微鏡像からは、リポホリンがクチクラのたとえば蝋管などの特定の構造に存在することも、特定の分布を示すことも認められなかた。リポホリンがクチクラ中にランダムに存在していることを示すのみであった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

リポホリンをクチクラから単離・精製することに手間取っている。これをクリアすれば、各段に進展すると期待している。

今後の研究の推進方策

クチクラ中のリポホリンをデタージェントを用いて単離・精製することを試みているが、デタージェントはクチクラだけでなくリポホリンそのものの構造にも影響を与えてしまう。今後も試行錯誤をつづけ、単離・精製を成功させたい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Effects of acclimation temperature on membrane phospholipids in the flesh fly Sarcophaga similis2011

    • 著者名/発表者名
      Goto S.G., Katagiri C.
    • 雑誌名

      Entomological Science

      巻: 14 ページ: 224-229

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comparing wing loading, flight muscle and lipid content in ant-attended and non-attended Tuberculatus aphid species2011

    • 著者名/発表者名
      Yao I., Katagiri C.
    • 雑誌名

      Physiological Entomology

      巻: 36 ページ: 327-334

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Causal involvement of mammalian-type cryptochrome in the circadian cuticle deposition rhythm in the bean bug Riptortus pedestris2011

    • 著者名/発表者名
      Ikeno T.
    • 雑誌名

      Insect Molecular Biology 20 (3) 409-415

      巻: 20 ページ: 409-415

    • DOI

      10.1111/j.1365-2583.2011.01075.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Heat coma as an indicator of resistance to environmental stress and its relationship to ocean dynamics in the sea skaters, Halobates (Heteroptera : Gerridae)2011

    • 著者名/発表者名
      Harada T.
    • 雑誌名

      Insect Science

      巻: 18 ページ: 703-711

    • DOI

      10.1111/j.1744-7917.2011.01409.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Heat coma and its relationship to ocean dynamics in the oceanic sea skaters of Halobates (Heteroptera : Gerridae) inhabiting Indian and Pacific Oceans2011

    • 著者名/発表者名
      Harada T.
    • 雑誌名

      Journal of Thermal Biology

      巻: 36 ページ: 299-305

    • DOI

      10.1016/j.jtherbio.2011.05.001

    • 査読あり
  • [学会発表] 脂肪滴形成における脂質代謝酵素PNPLA5の機能解析2011

    • 著者名/発表者名
      平林哲也
    • 学会等名
      日本生化学会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都市)
    • 年月日
      2011-09-24
  • [学会発表] ユキムシ(トドノネオオワタムシ)の綿毛発生過程についてイボタロウムシやワモンゴキブリとの比較2011

    • 著者名/発表者名
      山田大邦
    • 学会等名
      日本昆虫学会
    • 発表場所
      信州大学(松本市)
    • 年月日
      2011-09-19
  • [学会発表] Waxy strand of woolly ash aphid, Procipilus oriens2011

    • 著者名/発表者名
      Katagiri C.
    • 学会等名
      4th International Symposium of Environmental Physiology of Ectotherms and Plants
    • 発表場所
      University of Rennes(フランス)
    • 年月日
      2011-07-22

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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