研究概要 |
22年度の野外調査については.長野県軽井沢町に1区2.5haの広大な敷地を借用して行なった.レタス圃場での調査の結果,交信かく乱区でもターゲット種を含む各種キンウワバ幼虫の発生がみられ,改良試作品では発生が抑えられる傾向にあった.よって市販の交信かく乱剤は,充分なかく乱効果を示していないことが明らかとなった.また発生しているキンウワバ類については、ターゲット種のイラクサギンウワバとタマナギンウワバ、および非ターゲット種のキクキンウワバ、キクギンウワバが発生していたが,幼虫時に死亡したものなど種不明個体については、分子同定技術を開発し適用したところ,その多くがタマナギンウワバであり,レタスほ場での優占種はタマナギンウワバであることが明らかとなった.開発した技術については学会誌に投稿し,アクセプトされた。 また野外調査で発生したチョウ目害虫について種の同定を行なったところ「新たな害虫」としてニセタマナヤガの存在が明らかとなった.本種は我々の調査以外でも多くのほ場で確認され,これらをまとめた長野県の連携研究者のデータにより病害虫発生予察特殊報第8号で公表された. 性フェロモン成分の解析については,ほ場で採集されたタマナギンウワバの成分をガスクロマトグラフィーで解析したところ,既知の成分比とほとんど変わらない傾向を示した.これについては,次年度以降も継続して性フェロモン成分を分析することで,本当に変異は認められないのかを明らかにしていきたい。 以上により初年度としてはいくつかの成果公表も含め,まずまずの成果を上げたと判断できたので,今後とも多くの成果を出せるよう継続的な研究を行っていきたい.
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