研究課題/領域番号 |
22580066
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
豊田 剛己 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30262893)
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キーワード | 定量PCR / 有機性廃棄物 / 孵化 / シスト / 食品廃棄物 / リアルタイムPCR / eDNA / Heterodera glycines |
研究概要 |
東京都内のエダマメ栽培圃場において、ダイズシストセンチュウによる被害が広がりつつある。多くの消費者が減農薬を要望するため、薬剤に頼らない防除法の確立が求められている。一方、食品製造廃棄物の有効利用も重要な課題となっている。"もやし"生産過程で生じる廃棄物が未利用となっていることから、この資源を用いてセンチュウ被害を効果的に防除する方法を確立することが、本研究の目的である。ダイズシストセンチュウ(SCN)汚染圃場に、もやし残渣の水抽出液を添加したところ、土壌中の密度を20g土壌当たり230卵程度まで低下させることができた。対照として水を添加した処理区では1450卵であった。この圃場でエダマメを栽培したところ、対照区では10アール当たり200kgであった収量が、もやし残渣区では750kgと顕著に増加した。これらの結果からSCNの要防除水準は土壌20g当たり約200卵であることが推定された。一方、もやし残渣を直接施用した処理区では、対照区の20g土壌当たり1340卵密度を960卵まで低下させることができたが、エダマメの収量には顕著な違いはなく、どちらも約1000kgの収量であった。水抽出液添加区と残渣添加区の違いは初期の無機態窒素濃度にあり、残渣添加区では200mgNH4-N/kg土壌と、水抽出液添加区の40mgと比べて約5倍であった。これは標準施肥量の3-4倍程度に相当することから、SCN汚染圃場においても過剰施肥により収量の改善が見られることが明らかとなった。以上より、もやし残渣を適切に施用することで土壌20g当たりのSCN密度を200卵以下に低下させること、これ以上のSCN密度の場合には、窒素施肥量を慣行の3倍程度に増肥することでエダマメ収量を維持できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圃場試験において、もやし残渣によるダイズシストセンチュウ被害に対する顕著な抑制効果を確認できた。おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
圃場試験において再現性を得るだけでなく、様々な圃場にも応用したい。なお、問題点としては地温によりシスト艀化効率が大きく異なり、条件によってはもやし残渣の効果が見られなくなってしまう。そのため、有効な施用方法と時期を明確にしていく。
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