研究概要 |
植物根圏に生息する微生物群集は,植物根に対する直接・間接の作用により植物の生育や健全性に大きな影響を及ぼしている。したがって,この根圏微生物群を植物の生育や健全性にとって好適な状態に調節する,あるいは好適環境の指標として利用するという観点から,その多様性や群集構造(微生物群の種の構成)に関する研究への関心は高い。そこで本研究では,根圏における微生物-線虫群集構造・バイオマス測定法の確立による微生物補食線虫の群集構造解析法の確立,微生物群集・線虫群集構造の植物根圏環境の指標としての活用の可能性解明を目的としている。本年度は、特に分子生態学的手法による土壌センチュウ群集構造解析法について検討し、以下の結果を得た。 PCR法およびDNA抽出法の改良については不純物が混入していてもPCR増幅が可能なAmpdirect Plus PCR法を導入し、Ampdirect Plus PCR法の特性を生かした精製を必要としない簡易DNA抽出法を考案した。DGGE法は使用したプライマーセットに合わせたゲルの変性剤濃度勾配を決定した。これまで使用した18Sr DNAを増幅させるプライマーセットではITS領域を含まないため、属レベルまでの解析しかできない。そこでITS領域を含むプライマーセットを作製し、その中でPCR増幅率が良かったNS7gc/Nem58Srを用いて解析を行った。このプライマーセットでの解析にはアクリルアミド濃度6%、変性剤濃度勾配25-45%が適していた。
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