研究概要 |
日本全国で収集した農耕地土壌約50点について、形態別窒素量、すなわち「全窒素」、「無機可給態(2M KCl抽出態)」「無機非可給態(2:1型粘土鉱物固定態)」「有機可給態(潜在量:0から14週までの長期培養(30℃、圃場容水量)で段階的に窒素無機化量を実測し、1次反応モデルで回帰)」「有機非可給態(安定態:全窒素と上記3画分との差)」を定量評価した。ここで、一部の試料については、有機可給態画分をリン酸緩衝液抽出窒素による簡便法からの予測で求めた。これにより、従来の科研費(奨励研究A, 1997-1998)により日本全国で収集した農耕地土壌約150点の結果とあわせ、合計200点の結果をまとめることができた。また、上記の農耕地土壌約200点について、有機可給態窒素量(潜在量)と各サンプリング地点の地温(気温)と土壌水分(降水量)を用いることにより、その地点で実際に発現する可給態窒素量を推測した。 一方、同一地点における土壌窒素への土地管理の影響を評価するため、京都府の長期連用試験の形態別窒素の分析結果の解析を試みた。その結果、有機物施用等の土地管理により有機態画分のみならず無機態画分も影響を受けること、適切な有機物施用を行わねば土壌窒素が減耗すること等を定量的に明らかにすることができた。
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