1)土壌型・土地利用・管理の影響評価:前年度得られた日本の農耕地土壌の形態別窒素のデータを目的変量に、その規定要因としての気温・降水量や土地利用、肥培管理の情報などを説明変量にとり、重回帰分析を行うことにより、土壌や気候で決まる自然因子と、土地利用や管理の影響で決まる人為因子とに分けて形態ごとにそれぞれの寄与率を算出した。これにより、特に有機可給態については、潜在窒素無機化量とともに、その地点の気候条件を反映した実効窒素無機化量を推定できるようになった。 2)異なる自然環境下のアジアの窒素環境の定量評価:自然環境の異なるアジアの農耕地土壌に対し、前述の形態別窒素5画分の定量評価を行う。すなわち、温帯多雨気候の韓国(Inceptisols卓越)と熱帯乾燥気候のインド(Aridisols卓越)の土壌試料の形態別定量を進めるとともに、熱帯雨林気候のインドネシア(Ultisols卓越)でサンプリングを実施し合計75点の土壌試料を採取し、引き続き形態別窒素の測定を進めている。これにより、従来得られている各気候帯の形態別窒素のデータとあわせ、日本の農耕地土壌のアジアにおける位置付けのためのデータベースが蓄積しつつある。
|