研究課題/領域番号 |
22580071
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
野口 章 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (20222193)
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キーワード | 土壌 / 重金属 / 吸収性 / 可給性 / 評価 / 導管液 / ヘチマ |
研究概要 |
当課題では、土壌中の重金属の吸収性(=可給性)を評価する方法について、そこで生育する植物の活性をも合せて評価し得る方法を確立させ、それを用いて土壌中の重金属吸収性を評価することを目的とする。そのため被験土壌で生育するヘチマ(比較的多量の導管液を採取し得るため当法の標準植物に選定)幼植物下胚軸を切断して得られる導管液の組成と濃度を、土壌中の重金属可給性の指標として利用すること(導管液法)の可否を検討する。 一定濃度のカドミウム、銅、ニッケル、亜鉛、コバルト、マンガンのいずれかを含むHoagland水耕液でヘチマ幼植物を栽培し、導管液を得た。この導管液中の重金属濃度と地上部重金属含有率との関係から、根圏重金属濃度ならびに共存重金属濃度の変化に伴う重金属可給性の評価に対する導管液法利用の妥当性を検討した。その結果供試したいずれの元素とも、過剰害を及ぼす濃度以下では、ヘチマ地上部含有率と導管液濃度は共に処理濃度と正比例し、なおかつ導管液濃度は地上部含有率と正比例した。さらに、銅、亜鉛、マンガンについては、当該元素処理以外にも栄養元素として水耕液中に含まれるので、その時の導管液濃度と地上部含有率との関係も調べたところ、銅とマンガンでは上記と同様に正比例関係にあった。したがって導管液濃度は吸収量を反映しており、根圏に存在する重金属濃度の変化や共存元素濃度の変化に基づく可給性の変化の評価に利用できることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度実施予定の「重金属汚染土壌における汚染程度の評価」に関する一部予備試験(水田土壌における重金属可給性評価へのヘチマ利用)を実施したところ、ヘチマによる導管液が十分に採取できないことが予見された。
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今後の研究の推進方策 |
1)植物生育や根の吸収活性に影響を及ぼす要因の存在による重金属吸収性の変化の評価、2)重金属汚染土壌における汚染程度の評価、3)ファイトレメディエーションによる修復状況の評価、4)ファイトレメディエーションに組合せる化学的手法の効率評価に対する導管液法の有効性を検討する。また同法を利用して、修復土壌の肥培管理指針の作成を試みる。
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