出芽酵母前胞子膜前胞子膜伸長の分子機構の解明を目指し、以下の研究を行った。 1 Protein Phosphatase 1(PP1) のターゲットを明らかにするため、候補であるYsw1のリン酸化について検討を行ったが、明らかなリン酸化は検出できなかった。PP1のターゲットについてはさらなる検討が必要である。 2 Dysferlin ドメインのみからなるSpo73について解析を行い、Spo71の PHドメインおよびリン脂質の両方の結合を示唆するデータを得た。Dysferlinドメインの機能について知る足がかりが得られたと考える。 3 現在までに得られた情報から、前胞子膜伸長の分子機構について以下のように考察した。Spo71とSpo73はそれぞれ膜脂質と相互作用することにより独立に前胞子膜に局在し、膜上で複合体を形成し、脂質のリン酸化酵素を制御することにより、SNAREを介して膜を伸長させると考えられる。PP1は細胞骨格を制御するとともに、この過程にも関与すると考えられる。前胞子膜形成の全貌を明らかにするためには、さらなる解析と検討が必要である。
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