LysRタイプ転写調節因子(LTTR)は、全長約300アミノ酸のうちのN末端側の約50アミノ酸がプロモーターDNAへの結合に関与し、それ以外のC末端側の領域が誘導物質認識に関与すると考えられている。CbnRについてその立体構造から、N末端側の領域でターンを形成してDNA側へ突出している部位のアミノ酸Val27、Ser28、Gln29がDNAとの結合にとくに重要である可能性が高いと考えられた。これらを他のアミノ酸に置換した変異型CbnRは、いずれもプロモーターDNAへの結合能もしくは転写活性化能を失ったことから、これらアミノ酸がDNAとの結合または転写活性化に必須であることが判明した。 一方、類縁のLTTRであるTfdTで誘導物質認識に関与すると推定されたアミノ酸からの類推により、対応する位置のアミノ酸を置換した変異型CbnRを作製して解析したところ、Phe98、Thr100、Lys129、Arg199、Phe202、Val246の6か所のアミノ酸で、野生型CbnRとは異なるパターンの転写活性化能を示した。このことから、これら6か所のアミノ酸がCbnRの誘導物質認識に関与すると推定された。 CbnRとcbnAプロモーター断片との共結晶作製に供試するために、cbnAプロモーター断片を大量に調整することを目的として、大腸菌の多コピーベクターpUC19を用いて、cbnAプロモーターを含む長さ63bpまたは70bpのDNAを16個、制限酵素サイトを介して縦列にクローニングしたプラスミドを構築した。このプラスミド構築物により、cbnAプロモーター断片の効率的な調整が可能となる。
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