研究概要 |
1)前年度に引き続き、HapX認識配列に変異を導入し、in vivoでのHapX結合の影響を調べた。平成24年度には、野生型のチトクロームcプロモータと変異プロモータをレポーター遺伝子(lacZを用いる)に連結し、A. nidulansに導入後、β-ガラクトシダーゼ活性を調べ、in vivo におけるHapX結合部位の解析をおこなった。その他の鉄関連遺伝子(sreA, acoA, catB)については、in vitroによるHapXの結合様式を調べた。 2)HapXの部分欠失変異リコンビナントタンパク質を作製した。HapXはN末端部分にHapB/C/E複合体と相互作用すると推定されているドメイン、それに続く塩基性のドメイン、鉄と相互作用することが推定されているシステインに富むC末端ドメインを有する。これらのドメインのうち、C末端のドメインを欠くような部分欠失変異タンパク質を生産するような大腸菌の発現系を構築し、各欠失リコンビナントタンパク質を調製した。 3)HapB/C/EおよびHapXの部分欠失変異体を利用し、それぞれの機能ドメインを同定する実験に関しては、時間の都合上行われなかったため、計画期間終了後も引き続き行う。 4)これまでの結果を総合し、真菌類における鉄関連遺伝子の転写抑制機構について考察する ゲノム配列が明らかになっている近縁の真菌類についても、今回得られた知見が一般化できるかを調べた。その結果、子嚢菌類のみでなく、担子菌類の一部にもHapX様の因子が存在することが明らかとなった。
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