私たちは、小胞体ストレスによってリボソーム生合成が転写レベルで制御されることを示し、さらに、このシグナル伝達に重要な機能をもつ因子としてリボソーム生合成調節タンパク質Rrs1を同定している。また、Rrs1がリボソームタンパク質L5およびL11をリボソームサブユニット前駆体に組込む役割を担っていることを示した。しかし、Rrs1がどのようにシグナル伝達にかかわるかについてはまったく不明である。私たちは最近、Rrs1が核小体以外に核膜辺縁にも局在することを見出している(論文投稿中)。本研究ではRrs1の核膜における機能を解析することによって、リボソーム生合成と小胞輸送の連携の分子機構を解明することを目的とする。 本年度は、Rrs1と相互作用する核内膜のタンパク質を同定し、そのタンパク質とRrs1とを融合させたタンパク質を核膜に発現させる系を確立した。この発現によって、温度感受性rrs1変異株における2つの欠陥-リボソーム生合成と核膜における機能-のうち、核小体におけるRrs1の機能を回復させないで、核膜における機能のみを回復することができると期待される。この系を用いることによって、Rrs1の2つの機能をより明確に解析することが可能となったと考えている。
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