研究概要 |
本研究は、出芽酵母の減数分裂開始におけるヒストン脱アセチル化酵素の制御と転写タイミング制御の分子機構の解析し、得られた結果を新たな特異性の高いHDAC阻害剤探索系の開発につなげることを目的として行い、22年度の研究で以下の成果を得た。 1)モデル真核生物酵母を用い、ヒトHDAC1と相同性の高いRpd3-Sin3複合体の細胞内での活性阻害に働く因子を探索することを目的として研究を行った。方法は以下の通りである。HDACによって抑制を受けるINO1のプロモーターの下流にHIS3遺伝子を挿入したレポーター遺伝子はHDACの作用によって発現が抑制されるため、この遺伝子をどう持つhis3株はヒスチジンを欠く最小培地(-His培地)では生育できない。しかし遺伝子量の増加によりHDAC阻害因子を多量に発現させれば生育可能になることが期待される。この株に多コピー遺伝子ライブラリーを形質転換して得られた,約60万の形質転換株から19の候補遺伝子を選抜した。これらの候補遺伝子についてRPD3に依存したものであるかをさらに詳細に検討を加えた結果、最終的に2種の候補が得られた。配列解析と遺伝子切り詰め実験の結果これらはRAD53、およびSTT4遺伝子であることを明らかにした。現在、これらが直接的にHDAC阻害に働くかについて検討を加えている。 2)減数分裂初期遺伝子IME2の発現タイミングの調節に関わる因子を探索した結果、HAC1とSET3がこれに働くことを見出した。それぞれの蛋白質が実際にIME2遺伝子のプロモーター上に結合するかを検討した結果、後者がHDAC依存的に結合することを明らかにした。
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