研究概要 |
ペクチンはホモガラクチュロナン領域とラムノガラクチュロナン(RG)領域から構成されるヘテロ多糖であり、様々な修飾基をもつ。優れたペクチン分解能を有するPenicillium chrysogenumによるペクチン分解機構を明らかにする目的で、本研究課題では本ゲノム中に存在する47個の推定ペクチン分解系遺伝子の機能解析を目指している。23年度終了時までにアラビノフラノシダーゼ8種(AXS5,AFQ1,AFS1,AF43A,AF43B,AF43C,AF43D,AF51B)、エンドアラビナナーゼ4種(Abnc,AbnS1,ABN43B,ABN43E)、ガラクトシダーゼ4種(BGAL2B,BGAL35A,BGAL35B,BGAL35C)、エンドガラクタナーゼ1種(GAL1)、フェルラ酸エステラーゼ1種(FAE1)、RGリアーゼ1種(RGB1)、RGアセチルエステラーゼ2種(RGAE1,RGAE2)、不飽和RGハイドロラーゼ1種(RGH1)、ラムノシダーゼ1種(RHA1)、ペクテートリアーゼ1種(PEL3)、ペクチンリアーゼ2種(PNL1,PNL3)、ベクチンメチルエステラーゼ1種(PME2)の計27種のタンパク質の反応特性解析を行った。23年度の結果から、AF43AとBGAL35A、BGAL35Cについては新規な触媒能を有する遺伝子であることが明らかとなった。AF43Aはペクチン中の分岐アラビナンの側鎖に特異的に作用する新規酵素であり、BGAL35AはRGに結合するガラクトオリゴ糖に高活性を示すユニークな触媒能をもつ酵素であった。また、BGAL35Cはβ-1,4-ガラクタンに特異的に作用するエキソ型酵素であり、微生物起源では初めてのクローニングである。さらにガラクタン分解において、BGAL35AとBGAL35Cはエンドガラクタナーゼと相乗的に働き、本多糖を完全分解することを証明した。
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