研究課題/領域番号 |
22580095
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
田淵 光昭 香川大学, 農学部, 准教授 (00294637)
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研究分担者 |
田中 直孝 香川大学, 農学部, 准教授 (60324109)
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キーワード | 酵母 / III型分泌装置 / 病原菌エフェクター |
研究概要 |
多くの病原菌は、□型または□型分泌装置と呼ばれる注射針の様な構造を用いて、宿主細胞に直接、病原因子(エフェクター)を注入することにより、その病原性を発現している。青枯病は、青枯病菌Ralstonia solanacearumが原因となる病害で、ナス科植物をはじめ、200種類以上もの植物に感染し、枯死させる農業上深刻な被害をもたらす病害である。我々は、多くの病原菌エフェクターが酵母において発現させた場合に酵母の増殖抑制を引き起こすという現象を利用し、酵母発現系を用いて効率よく病原因子機能を解析するシステムを開発してきた。本研究では、4800酵母破壊株から構成される酵母ジェネティックアレイにより、青枯病菌のエフェクター分子の宿主標的分子を網羅的遺伝学的手法により同定し、分子レベルでの青枯病菌の宿主への感染戦略を理解し、青枯病への予防対策へと応用することを目的とする。 昨年度は、酵母内での発現により酵母に増殖抑制作用を付与する5個の青枯病菌エフェクターについて、酵母における細胞内局在の解析、酵母遺伝子破壊株ライブラリーを用いた酵母ジェネティックアレイ法によりエフェクターと遺伝的相互作用を示す遺伝子の同定を行った。 その結果、5つのエフェクターの内、GFPを融合させた4つのエフェクターについては、酵母細胞内での局在を解析したところ、細胞質、ゴルジ体、娘細胞などに特異的に局在することを明らかにした。また、1つのエフェクターについては、酵母破壊株ライブラリーに網羅的に形質転換し、エフェクター発現により野生株より強い感受性を示す遺伝子破壊株を同定することで、エフェクターと遺伝的に相互作用する酵母遺伝子を単離した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
担当していた学生が就活などで不在な事が多く、年度の前半はあまり研究が進まなかったが、後半は予定通り研究が進行し、当初の目的であった酵母ジェネティックアレイ法を確立することが出来、青枯病菌エフェクターの一つについて、このシステムを用いてスクリーニングすることで新たな遺伝的な相互作用を見出すことが出来た。弱冠、予定よりは遅れているが、当初の目標を7割程度達成できていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
特に学生が就活などで不在になることが最も研究が進行しない原因である。そこで、昨年度まで1名の学生に担当してもらっていたのを今年度は2名の学生を配置し、1名は修士1年なので研究に集中して取り組んでもらえる状況にした。 また、8月からは、スペインの共同研究者研究室からPhDコースの院生が3ヶ月間滞在する予定で、共同研究者との協調的に研究を進めることでより一層の研究推進を図る。
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