多くの植物や動物に感染する病原菌は、III型分泌装置を用いて宿主細胞質にエフェクタータンパク質を直接注入することで感染を成立させている。本研究では、植物病原菌である青枯病菌由来の病原因子エフェクターを酵母発現系により解析し、青枯病菌感染戦略の分子メカニズムの解明を目的とした。 青枯病菌エフェクター遺伝子 38 個からその発現により酵母に強い増殖阻害を引き起こすエフェクターを 5 つ単離した。これらエフェクターの中で、あらゆる生物種間で保存されたドメインを有する REY4 について、酵母遺伝学により標的因子の探索を行ったところ、 酵母細胞壁合成制御シグナル伝達経路に異常を示す変異株では、 REY4 に対して超感受性を示すことが明らかになった。これより、REY4 は、酵母細胞壁合成制御シグナル伝達経路と遺伝的に相互作用する酵母内因子を標的としていることが示唆された。
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