研究課題/領域番号 |
22580096
|
研究機関 | 秋田県総合食品研究センター |
研究代表者 |
小笠原 博信 秋田県総合食品研究センター, 醸造試験場, 上席研究員 (50390901)
|
研究分担者 |
高橋 砂織 秋田県総合食品研究センター, 加工研究所, 所長 (10142184)
|
キーワード | トランスポゾン / 外来性遺伝子 / mRNA / 多様性 / 麹菌 |
研究概要 |
ストレス応答cDNAブラウザーによる探索から機能化が推定される新たなトランスポゾン配列も見出されてきている。平成23年度研究ではそれら新規および既にアノテーションされているトランスポゾン遺伝子を対象にストレス条件下でのmRNA分子種変動について解析を行った。 【方法】Cu2^<+>処理および高温処理を行った分生子より全RNAを抽出し、RT-PCRや3'-RACEおよび転写産物のcDNA配列決定により、splicingの変化とpoly(A)付加位置の変動について解析を行った。 【結果】未アノテーション領域より見出されていた幾つかのtransposaseやレトロトランスポゾンのgag様配列、および既知のimplala様配列(AO090023000251)ではストレスによりsplicing阻害が認められた。一方、新規DNAトランスポゾンAoTan1ではcryptic splicingは検出されなかったが、ORF内のpoly(A)付加の減少と3'-UTR領域への付加が認められるようになった。これらの阻害によるトランスポゾン因子のインタクトなmRNAのストレス負荷後、およびストレス解除後の時間的消長はCrawlerとほぼ同様の経過が観察された。以上のことから、麹菌内のトランスポゾン様遺伝子はCrawlerと同様の制御により転移抑制がなされていることが示唆された。 さらに、cDNAブラウザー探索からCrawlerと同様に機能化変化をする遺伝子領域として、ストレスカスケードのHogA様DNA配列とエピジェネテクスへの関与が推定されるHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)様の遺伝子領域が見つかり、今後、トランスポゾン因子のmRNA消長との関連性についても解析していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新規トランスポゾン関連遺伝子や新規カスケード因子と推定される遺伝子領域が見出されるなど、おおむね順調に進展しているが、Crawlerの最終的な発現解析(Western)のための組換えタンパク質作成がうまくいっていないことから、まだ実施されていない。
|
今後の研究の推進方策 |
研究課題最終年度として麹菌トランスポゾン活性化機構をまとめるため、組換え体の再検討とCrawlerタンパク質発現による抗体作成に再度研究重点を置く。また、新規カスケード因子とトランスポゾン因子mRNAの消長について相関解析を進め、ストレスによる転写レベルでの新規の多様化について提案する。
|