研究課題/領域番号 |
22580100
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
山下 哲郎 岩手大学, 農学部, 准教授 (20202377)
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研究分担者 |
森松 正美 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (70241370)
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キーワード | 巣上体 / エステラーゼ / 酵素 / KOマウス |
研究概要 |
野生型マウスとCES4遺伝子欠損マウスの表現型の差異を比較解析することにより、精巣上体に特異的に発現しているカルボキシルエステラーゼであるCES4の生理機能の解析を行った。 (1)CES4の雄性生殖能への影響について 精巣上体は精子の成熟に関わる機関であり、精巣上体を通過する過程において、精子は潜在的な運動能と受精能を獲得していく。そこで、CES4と雄性生殖能の関連について明らかにする目的で、雄のCES4遺伝子欠損マウスと野生型マウスで、野生型雌と交配させた際の産仔数の比較を行った。生後3カ月から12カ月まで継時的に野生型と欠損マウスそれぞれ4頭を用いて解析を行ったところ、統計的に有意な平均産仔数の違いは見られず、CES4変異による生殖能への影響は認められなかった。ただし、10カ月後から、変異マウスの産仔数が減少する傾向が見られたことから、現在も交配実験を継続中である。 (2)精巣上体における酸化ストレス応答に関する因子の比較解析 前年度の研究で、CES4変異マウスの精巣上体において還元型グルタチオンが枯渇した酸化的環境にあることが示されたため、酸化ストレスに応答して発現が誘導されるヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)のタンパク質量の差異について、ウエスタンブロッティング法を用いて解析を行った。その結果、精巣上体中のHO-1の発現亢進が検出され、変異マウスの精巣上体が酸化ストレスに曝されていることが示された。しかしながら、酸化ストレスマーカーとして知られている4-hydroxy-2-nonenal(4-HNE)の抗体を用いた解析では、両者で差異が認められず、現在、他の酸化ストレスマーカーを用いた比較解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災の影響で実験動物の継代維持に支障が生じた期間があり、マウス個体を用いた実験にやや遅れが生じているが、生化学的解析による遺伝子欠損による表現型の違いが明らかになりつつあり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
理化学研究所バイオリソースセンターに変異マウスを寄託し、多方面から表現型の解析を行ってもらう。メタボローム解析による極性低分子代謝物の差異については予備的な解析を行っているが、データの信頼性を高めるため、n数を増やして再解析を行う予定である。
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