研究概要 |
・WRI1遺伝子のプロモーター解析 種々の欠失を持つWRI1プロモーターとGUSとの融合遺伝子の種子登熟過程における発現を解析した結果、RY配列を持たない翻訳開始点上流300bpまでの領域でも種子登熟過程において発現が見られ、200bpまでの領域では発現が見られなくなったことから、WRI1の種子における発現に必要なシス配列は翻訳開始点から300から200bpの領域中に存在することが明らかになった。この100bpの領域を用いて作製した機能獲得型GUSレポーター遺伝子の発現は見られなかった。また、プロトプラストの一過性発現系において、種子マスターレギュレーターによるWRI1の活性化を調べたところ、RY配列を欠失させた600bpのプロモーター領域では、FUS3とLEC2による活性化は消失したのに対し、ABI3による活性化は見られた。 ・WAT1,2による遺伝子の発現制御機構 WAT1,2それぞれの過剰発現株を作製し、マイクロアレイ解析をおこなった結果、WAT1,2ともにWRI1の標的遺伝子のいくつかは影響を受けていたが、その影響はWRI1に比べて小さいことが明らかになった。WAT2に関して結合コンセンサス配列を調べたところ、WAT2はWRI1やWAT1とよく似た結合配列を持つことが明らかになった。以上のことから、WRI1サブファミリーは結合配列と標的遺伝子は共通しており、それぞれの発現部位の違いなどにより脂肪酸合成を制御していると考えられる。 ・WRI1サブファミリーの二重・三重変異株の解析 wat1 wat2二重変異株は花器官が合着する表現型が見られ、走査型顕微鏡観察により表面のクチクラワックスが減少していることが明らかになった。WAT1,2は花器官における脂肪酸合成を調節しており、これらが欠失すると脂肪駿から作られるワックスが減少しで、花器官の合着が起こっていると考えられる。
|