研究課題
本研究はレトロウイルスンテグラーゼのSUMO化とその役割について解析し、応用への道筋をつけることを目的としている。そこで本年度はまず、インテグラーゼのSUMO化をin vitro, in vivoで調べた(研究計画1)。In vitroの実験系としては大腸菌におけるSUMO化システムを用いた。これは大腸菌用プラスミドにUbc9, Sae1/2、SUMO-1の遺伝子を組み込んだものである。この大腸菌にGST融合型のMLVとHIVのインテグラーゼを導入してそのSUMO化を観察したところ、いずれのインテグラーゼもSUMO化されることが判明した。In vivoの実験系では、293FT細胞においてSUMO化の確認を行った。次にSUMO化の酵素についての解析を行ったところ、PIASyとPc2がその役割を担っている可能性が示された。これらの蛋白質は両方のインテグラーゼと直接結合することも明らかにした。また興味深いことに、これらの蛋白質がインテグラーゼと共存するとその安定性が上昇することも示唆された。これがSUMO化によるものなのか蛋白質との相互作用によるものなのかは現時点では不明である。今後SUMO化能力のないPIASyやPc2を作製し、インテグラーゼの安定化能力を維持できるかどうかの検証を進める。またMLVをPIASyをノックアウトした細胞と強制発現した細胞に感染させ、インテグラーゼの安定化及びその感染能力とウイルス由来遺伝子の発現に対する効果を調べている。
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The Journal of Biochemistry
巻: 149 ページ: 301-309
Journal of Virology
巻: 84 ページ: 8250-8261